ビッグコミックスペリオールに連載中(2023年9月23日現在)の「住みにごり」。
ラジオで狩野英孝さんが紹介していたので読んでみたのですが、露悪的でヒリヒリする物語がめちゃくちゃ面白い。
単行本の帯はなんとビートたけしさんが書いています。(本人が事務所にマンガを送り実現したそうです)
そんな話題沸騰中の住みにごりを紹介していきます。
29歳の夏、実家へ帰る
会社から長期の休みをもらい実家に帰った次男・末吉。実家には父、母、たまに帰ってくる姉、そして無職の兄が住んでいます。
昼寝中、外からの悲鳴で目を覚まし見に行くとそこには血だらけで倒れた人々と、凶器と生首を持った兄の姿が。兄は振り向き笑顔でいいます「あっ、いた。」
そこで末吉は目を覚まします。そんな衝撃的な悪夢から不穏な家族の物語が始まります。
無職の兄
小学生以来、会話を交わしたことがないという兄。ニートのくせに舌が肥え、ポテチは箸で食べ、指を血だらけにしながら部屋でひたすらキャベツを千切りにし、レスリングのユニフォーム姿で焼き肉を食べに行く。一目で町のヤバいやつとわかる兄。そんな兄に対して末吉は悪夢がいつか正夢になるのではないかと不安を募らせます。
兄よりヤバい?父の存在
このマンガで兄の他にもう1人露悪的に描かれる登場人物が末吉の父です。
癇癪もちで自分の気に入らないことがあると周りにあたり散らかし、家族のことを自分の所有物のように扱う父。末吉はそんな父が嫌で実家を出たと語ります。
昔、会社の総務部長だったことだけが心の拠り所の父ですが、現在は定年退職を迎え町の中華料理屋でアルバイトをしています。家族たちに悪態をつきまくる父。露悪的に醜く描かれる父ですが、家の外では他の顔を持ち女性から意外とモテるようです。
マトモなのは母、姉だけ?
病気を患い寝たきりとなってしまった母と陽気な姉。常識人として描かれる母と姉ですが、母は家族のために自分を殺して生活してきたことや嫉妬に狂う姿など表には出さない黒い感情が渦巻いているようです。離婚して実家のある街へ帰ってきたいわゆる出戻りの姉も、何やら秘密を隠しているようです。
幼馴染・森田
実家に戻った末吉は、幼馴染の女の子・森田と再会します。幼稚園からの付き合いの森田純夏(もりたかすみ)。
レスリングをずっと続けていた森田ですが、今はやめてしまったといいます。そんな彼女に末吉は恋愛感情を抱いています。全体を通して不穏な物語の中で唯一さわやかな空気が流れる森田と末吉。
久しぶりに会った二人は恋愛関係となりますが、森田もとんでもない何かを隠しているようです。
家族、そして森田。末吉はどうなる?
兄、父、母、姉、森田と濃ゆすぎるキャラクター達。それぞれがゆらゆらと黒い感情を心に抱きながら進む物語。
最新4巻では、末吉と付き合った森田が、ゆくゆくは結婚したいと実家へ挨拶しに来ます。喜ぶ母とある感情を抱く父。ここから物語は一気に加速していきます。
いつ崩壊するかわからないギリギリを突き進む物語
一番ヤバいやつに見えていた兄。しかし物語が進むにつれて、もしかして兄が一番まともなのかと思えるほど、それぞれのキャラクターが黒い感情を持っています。末吉は森田と交際し、結婚を決意。そんな幸せの渦中にいますが、それぞれの黒い感情が表面張力ギリギリであふれそうになりながら物語は進んでいきます。
ヒリヒリとした物語に今後も目が離せません!皆さんもぜひ「住みにごり」を読んで不穏な空気感を楽しんでみてください!!
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