第29回 IPPONグランプリ 感想&お題に挑戦!!

2024年2月3日㈯放送第29回IPPONグランプリ。
今回は「第29回IPPONグランプリ」で出題されたお題に、実際に挑戦してみました!
芸人さんの秀逸な回答と比べながら、自分なりに考えた回答を通して「笑いの構造」を分析してみます。

IPPONグランプリのアイキャッチ画像です

今回の大会は、松本人志さんに代わってバカリズムさんがチェアマンとして登場。
芸人10名による白熱の大喜利バトルが繰り広げられました。
今回の出場者は
川島明さん(麒麟)、堂前透さん(ロングコートダディ)、ヒコロヒーさん、赤羽健壱さん(サルゴリラ)、田中卓志さん(アンガールズ)、堀内健さん(ネプチューン)、博多大吉さん(博多華丸・大吉)、箕輪はるかさん(ハリセンボン)、児玉智洋さん(サルゴリラ)、秋山竜次さん(ロバート)
以上の10名です。
さっそくお題に挑戦していきたいと思います!

芸人さんの回答
田中:「さかなくんのしゃべり方って天然ですか、養殖ですか」
川島:「浜田さんホンマに出前館使ってますか?」

自分の回答
①「美魔女ってイジってますよね」
②「本当にほんと―に運動神経悪いんですか?」
⓷「スタッフさん、さすがに笑いすぎですよね」

比較・感想・考察
田中さんの回答は「さかなクンのしゃべり方って天然ですか」だけでなく、「さかな」というワードから天然/養殖というイメージの関連付けという、一文に二つの意味を込めており、笑いはもちろん感心できる回答です。
これは“天然”という日常的な性格の比喩と、“さかなくん”というキャラクターの魚に関する専門性をかけたダブルミーニング。言葉に二重の意味を持たせることで「アホなふり」の中に知的なユーモアを感じさせる田中さんは流石です。
自分の回答は、どれも一つの意味しか持たせておらず、当たり前ですがプロの芸人さんのすごさがわかります。
川島さんの「浜田さんホンマに出前館使ってますか?」という一言も、“タレント契約に本当に実態があるのか?”という業界の裏側に触れるギリギリの問いを、あくまで“素朴な疑問”として投げかけることで、ブラックユーモアとテレビ業界の距離感を絶妙に保っています。

一方で、自分の回答について振り返ると、

①「美魔女ってイジってますよね」は、“美魔女”というあいまいな表現へのツッコミで、賞賛と皮肉のギリギリをつく発想でした。ただ、「イジってる」という表現が直接的だったので、もう少し曖昧さを含ませた方がより「アホなふり」が際立ったかもしれません。

②「本当にほんと―に運動神経悪いんですか?」は、バラエティでよく見る“運動音痴キャラ”への疑問として、テレビ的演出への皮肉を含んでみました。「本当」と「ほんとー」と繰り返すことで協調をしたつもりですが、あらためて回答の文言をみてみると、漢字とひらがなを混ぜることで余計な着目も産んでしまい、笑いには余計だったかもしれないと思い始めました笑。

③「スタッフさん、さすがに笑いすぎですよね」は、バラエティ番組でよく見られる“スタッフの笑い声”をネタにした視点。空気を読まない素朴なツッコミとしての形は悪くなく、制作現場を「素人目線で指摘する」ことでアホらしさを表現できたのではと思います。

総じて、自分の回答は「本音×素人風の視点」という構造をある程度踏まえており、方向性としては悪くありません。ただ、芸人さんの回答と比べると、言葉の“ひねり”や“二重の意味”を持たせるセンスにおいて、まだ伸びしろがあると感じました。

「天然な質問に見せかけて、どれだけ核心を突けるか」「ふざけた質問にどれだけ奥行きを込められるか」を意識することで、さらに笑いのクオリティを上げられると感じました。

今回のお題は「アホなふり」の部分に、“微妙な真実を突く”ことが笑いに繋がると気づきました。実際にネタとして成立しているのは「タブーギリギリの本音を、わざと天然っぽく聞く」構造のようです。

芸人さんの回答
川島:「助け出された長風呂太郎は湯葉のようでしたとさ」
ヒコロヒー:今現在でも使われている「お風呂が沸きました」あれが太郎の妻の最後の言葉だったと知る人は少ないとさ

自分の回答
①「長風呂の果てに富士山の噴火を止めたとさ」
②「朝シャン派になったとさ」
⓷「長風呂太郎が浸かってた風呂が今や琵琶湖になったとさ」

比較・感想考察

このお題では「長風呂太郎」という童話風キャラクターの最期に「〜とさ」を付ける形式で、物語としてのオチとユーモアの融合が求められました。

芸人さんの回答を見てみると──

川島さんの「助け出された長風呂太郎は湯葉のようでしたとさ」は、長風呂によって体がふやけた様子を「湯葉」と例えることで、ビジュアルと状況を瞬時に結びつけた絶妙な比喩になっています。文字数の少なさに対して情報量が多く、まさに“例えの妙”が光る一言です。

ヒコロヒーさんの「『お風呂が沸きました』は太郎の妻の最後の言葉だったとさ」は、「風呂=長風呂太郎」の世界観に、現代の機械音声を重ね合わせるというひねりが加えられており、音声に人格を持たせる発想と、「昔話」と「現代」のギャップが秀逸に表現された回答です。芸人ならではの言語センスと、思考の幅が際立っています。

一方、自分の回答を振り返ると──

①「長風呂の果てに富士山の噴火を止めたとさ」
→ 長風呂から富士山の噴火を止めるという本来関係ないものを「昔ばなし」をフックとしてスケールの誇張によるユーモアを狙った構成。昔話にありがちな“無茶な英雄譚”としての方向性を狙いました。

②「朝シャン派になったとさ」
→ 長風呂というキーワードから“真逆のスタイル”である朝シャンに転換することで、ギャップによるオチを作っています。やや現代的で軽めのネタに寄せた分、昔話感は弱めですが、日常との対比を狙った発想です。

③「長風呂太郎が浸かってた風呂が今や琵琶湖になったとさ」
→ 長風呂が過ぎて湖になるという地形レベルの誇張をユーモアとして展開した回答。こうしたスケールの暴走は昔話風のお題とは相性がよく、笑いの方向性としては明確で狙いが立っているかと思います。

総じて、自分の回答は「昔話的世界観」に乗っかるという基本構造は捉えられており、誇張やギャップの使い方も一定の効果を出せているかと思います。ただ自分の回答①⓷は、壮大な最後へつなげるという物語の形式をなぞっており、ヒコロヒーさんの発想に引っ張られていると感じました。
川島さんのような短い中にも具体的で鮮やかな比喩を入れる技術や、ヒコロヒーさんのように現代要素を絡める独創性を意識していくと、より洗練された回答へ強化できそうです。

芸人さんの回答
川島:私が豆を持っていますので、希望する鬼の方からぶつかってきてください
田中:豆をくだいてきな粉にしてゴホゴホさせる

自分の回答
①「鬼の前で泣きながら豆を食べる」
②「もうダーツで勝負を決める」
⓷「鬼も豆を投げてよいものとする」

比較・感想・考察
芸人さんの回答は、節分における“豆を投げる”という行為を、現代の「コンプライアンス」に配慮した形でユーモラスに再解釈しています。

川島さんの「鬼の方からぶつかってきてください」という回答は、立場を逆転させた丁寧語の使い方が絶妙で、過剰な配慮が笑いに変わる典型例といえます。田中さんの「きな粉にしてゴホゴホ」は、攻撃性をなくした代替案ながらも、「豆→きな粉→吸い込む」という流れが論理的に成立しており、想像すればするほど笑えてくる発想です。

一方、自分の回答では、
①「鬼の前で泣きながら豆を食べる」は、豆を“投げる”のではなく“食べる”という真逆の行動を取ることと、泣きながら豆を食べるという意味不明さをユーモアに置き換えたアイデアです。
②「ダーツで勝負を決める」は、「攻撃」ではなく「勝負」に転換することで暴力性を避けた現代風の対処法となっており、豆投げ→ダーツという飛躍から笑いを狙いました。
③「鬼も豆を投げてよいものとする」は、ルールを平等にする発想ですが、豆を投げ合うという展開がやや単調で、もう一ひねりあるとより印象的な回答になるかもしれません。
総じて、芸人さんの回答は「コンプラ」と「豆まき」の両方の特徴を踏まえた言葉選びと展開力に優れており、自分の回答では、「設定のユニークさ」や「フレーズの意外性」を強化することで、より完成度が上がると感じました。

芸人さんの回答
秋山:ワイルドスギちゃんの「安全バー捨てちゃったぜ~」フリーフォール
児玉:プーさんのハニーハントwithB

自分の回答
①「エレキテル連合パレード」
②「イッツア・スモール・ワールド ~ゴー☆ジャス実演Ver~ 」
⓷「HGのフリー❝フォー‼❞ル」

比較・感想・考察
芸人さんの回答は、一発屋芸人の持ちネタをテーマパークのアトラクションに落とし込む手腕がさすがでした。
秋山さんの「安全バー捨てちゃったぜ〜」は、スギちゃんの決めゼリフをスリル満点のフリーフォールに仕立てるセンスが抜群で、「セリフ × 物理的アトラクション」の融合が秀逸です。
児玉さんの「プーさんのハニーハントwithB」は、「withB」を文字通り“添え物”に使うという、一発屋的な存在感を絶妙に活かした表現でした。

一方、自分の回答について見ていくと…

①「エレキテル連合パレード」
→ エレキテル連合と、「エレクトリカル」の類似から、ディズニーのパレード風としたアイデア。
ただ「未亡人朱美ちゃん」をどう活かしているのか、演出面の具体性をもう少し出せると、笑いの輪郭がはっきりするかもしれません。

②「イッツア・スモール・ワールド ~ゴー☆ジャス実演Ver~」
→ ネタの世界観とテーマパークの世界観がマッチした回答かと思います。
「地球儀ネタ」「宇宙感」などをミックスした演出を想像させる点で、ユーモアを提示してみました。

③「HGのフリー❝フォー‼❞ル」
→ フリーフォールと「フォー!!」の語感を融合させた、言葉遊び系の回答。
フリーフォールという絶叫系アトラクションの恐怖と、HGさんのテンションの高い❝フォー‼❞を組み合わさせてみました。ただ、芸人さんの回答にすでにアトラクション「フリーフォール」を使ったものがあったので、避けるべきアトラクションだったと思います。

全体として、自分の回答は「ネタのキャッチフレーズ × アトラクション」からの発想が多いなと感じました。もう少しだけ「具体的な演出」や「視覚的なイメージ」を加えると、より完成度が高まりそうです。

芸人さんの回答
秋山:「ああ…うち……あぁ……」
箕輪:「うちB型みたいなA型やん?」

自分の回答
①「うち決めた。風呂場ピンクに染める」
②「うちが生まれて初めて喋った言葉❝天下❞やねん」
⓷「うちこの戦いが終わったら結婚するねん」

比較・感想・考察
秋山さんの回答は言い方が最高に面白い笑。芸人さんは文章だけでなく表現力と合わせて強力な回答を繰り出します。
芸人さんの回答は、どれも「一人称が“うち”の人」の口調・感情・キャラクター性をしっかりと捉えています。

秋山さんの「ああ…うち……あぁ……」という回答は、あえて意味を持たせず口調と“間”でキャラを演出する非常に高度なボケ。具体性がないのに笑わせられるのは、演者の表現力によるところが大きいです。

箕輪さんの「うちB型みたいなA型やん?」も、一人称“うち”の持つ関西圏の女子感や、自分のことは他人も知っているという決めつけ、そして血液型トークという軽いノリがうまくマッチしていて、自然なリアルさと笑いが両立しています。

一方で自分の回答を振り返ると──

①「うち決めた。風呂場ピンクに染める」
→ 突然の決意&ピンクという色合いから、一人称が「うち」という人物の性格を出せたかと思います。ただ、もうひと捻りした“理由”があるとより印象的かと思います。

②「うちが生まれて初めて喋った言葉❝天下❞やねん」
→ “うち”の一人称が持つ性質と、「天下」という戦国ワードのギャップが面白く、シュールな笑いにつながる回答。違和感の強さがポイントです。

③「うちこの戦いが終わったら結婚するねん」
→ アニメや漫画の“死亡フラグ”のようなテンプレを、一人称“うち”で可愛く言うことでネタのミスマッチ感を際立たせてみました

総じて、自分の回答はどれもキャラ性やギャップによる笑いを狙っていて、方向性としては芸人さんの回答に通じる部分があります。ただ、芸人さんの回答は“自然なテンションの中に面白さがある”のに対して、自分の回答はやや“ネタっぽさ”が強く、そこをもう少しリアルな口調に寄せるとさらにクオリティを上げられそうです

回答
博多大吉:「あさこ&大久保の絶景&グルメ旅in熱海&伊豆」
博多大吉:「&うサクラさんが&う優子さんと&うなつを食べた」

自分の回答
①「お会計は2600円&1980円&9800円&2950円&消費税です」
②「人生で最も大切なことは愛&夢&行動力&運&学歴&お金&見た目です」
⓷「&+&+&=∞(インフィニティ)」

比較・感想・考察
このお題のポイントは、「&」をただ並べるのではなく、言葉同士の結びつきに意味や笑いを生み出せるかが鍵だと感じました。&という記号が“接続詞”の代わりであることを逆手に取り、意外な組み合わせやテンポの妙で笑わせる技術が問われるお題です。

自分の①「お会計は~」という回答では、金額がどんどん積み上がっていくという❝数字の圧❞と、最後の「&消費税」による現実感がギャグになっていると感じます。またお会計なのに合計を提示されない不条理さも笑いにつながると考えました。

②「人生で大切なことは~」では、自己啓発系のテンプレを皮肉りつつ、詰め込みすぎ、大事なことを絞るのではなく詰め込むという誇張を笑いに転化した形です。特に「学歴&お金&見た目」と後半にいくにつれてリアルで刺さるワードが出てくることで、笑いと同時に皮肉の効いた風刺となるようにしました。

③「&+&+&=∞(インフィニティ)」は、記号の記号化というメタ的な発想で、文字の連続から抽象的な結論に飛躍する構造としました。哲学的で意味不明だけどなんかカッコいい(=ダサい)、というギャップでの笑いを狙ってみました。

芸人さんの回答を見ていると、1.すでにあるイメージを使い笑いへ転嫁。2.記号を別のアプローチから文へ組み込む。ということを巧みに行っています。
たとえば、1.は、いとうあさこさんと大久保さんという女性芸人と❝グルメ旅❞、地名を連ね、いかにもありそうな旅番組を想像させて笑いへつなげています。
2.については、記号としての❝&❞ではなく、音遊びに寄せて単なる接続ではない❝&が持つ音❞を使って笑いを生んでいます。

今回の自分の回答では、生活感・皮肉・抽象化の3方向からアプローチできたことで、バリエーションとしてはよくまとまったと感じています。もし改良するなら、「実在の人物名や商品名」などを絡めてより具体的かつ視覚的にすることで、もう一段階上の面白さに届くのではと分析しました。

みなさま第29回IPPONグランプリへの回答はいかがでしたでしょうか。
回答に挑戦してみましたが、芸人さんのすごさが改めて分かりました!
例えば、「長風呂太郎の物語の最後を「~とさ」をつけて教えてください。」というお題。自分でも「そうしてシャンプーハットが開発されたとさ」という回答を考えました。バカリズムさんの「それがきっかけで追い炊き機能が産まれましたとさ」という回答とアプローチは同じですが、バカリズムさんの回答は「長風呂→追い炊き機能」という関連性に納得感があります。同じ方向からのアプローチですが、芸人さんの回答の方が笑いの精度が高いです。すごく勉強となりました。
今回の決勝戦では、言葉選びの鋭さ意外性のある比喩が勝負の分かれ目になっていた印象です。
芸人さんたちの「その場で生まれる笑い」をどう構築しているのか、自分の大喜利挑戦にも大いに参考になりました。笑いの構造には、言葉のリズム・意外性・誇張・例え」が不可欠だと学びました。
次回の大会も自分の成長の場としてチャレンジしたいと思います!
今回はチェアマン松本さん不在の初のIPPONグランプリでしたが、サブチェアマンバカリズムさんが丁寧な解説をしており新鮮なIPPONグランプリでした!
次回は遂に第30回となります。次回IPPONグランプリも楽しみですね!!

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