第13回 IPPONグランプリ お題に挑戦!!

【完全解析】第13回IPPONグランプリ:「想像力」と「笑い」の設計図 大喜利お題に本気で挑んでみた

2015年5月23日に放送された第13回IPPONグランプリ。この大会で出題された大喜利の数々に、今回も全力で挑戦していきます。

本記事で7記事目となりますが、回を重ねるごとに「笑いの構造」が少しずつ見えてきた気がしています。それでもプロの芸人さんとの差は歴然で、まだまだ修行の日々です。今回も知見を総動員して挑みますので、ぜひお付き合いいただければ幸いです。

※本記事で紹介・比較している芸人さんの回答は、研究・分析を目的として「第13回 IPPONグランプリ(フジテレビ)」の放送内容より一部引用しております。

IPPONグランプリのアイキャッチ画像です

今回の出場者は!?

徳井義実さん/堀内健さん/バカリズムさん/板尾創路さん/若林正恭さん/博多大吉さん、他豪華メンバーが集結した第13回大会です。さっそくお題に挑戦していきます!!


お題1:世界が涙した3千万部の大ベストセラー『白ねずみオペンペンの大冒険』の書き出しを教えて下さい

芸人さんの回答

徳井: 父オパンパン母オピンピンの次男として生まれたオペンペンは
堀内:86番!!ハイ!!オペンペンはここでは番号で呼ばれていました。

自分の回答
①「オペンペン」って何よ、母ねずみが勝手に出生届を提出した父ねずみを怒鳴る
②「あれ、俺ねずみじゃね?」はじめて鏡をみたオペンペンは驚きの声を上げる
③オッペンペン♪オッペンペン♪祭りの囃子と太鼓の音が頭に響く。オペンペンにそれ以外の幼少期の記憶はない。

比較・分析・考察
このお題のポイントは「世界が涙した3千万部のベストセラー」という壮大な前提に対して、どれだけ意外性のある書き出しを提示できるかにあります。また「オペンペン」という独特の響きを持つ名前をどう活かすかも、笑いの鍵になります。

徳井さんの回答は、このお題における正攻法の回答です。「オペンペン」という名前に対して、父を「オパンパン」、母を「オピンピン」と勝手に命名することで、一家全員がこの独特の音の名前という設定を一文で構築しています。名前のリズム感と統一感が絶妙で、思わず笑ってしまう完成度の高い回答です。「オペンペン」という名前をイジるという、このお題における最も自然なアプローチを完璧に体現しています。

堀内さんの回答は、「番号で呼ばれていた」という一文で、読者の頭に刑務所や収容施設の情景を鮮明に浮かび上がらせます。世界が涙したベストセラーの主人公が、番号で管理される環境にいたというハードな世界観が笑いを生みます。さらにこの書き出しから「いったいどんな過去を持つねずみなのか」という想像が広がる点も、書き出しとしての完成度が高いです。

一方、自分の回答を振り返ります。

「オペンペンって何よ」は、徳井さんと同じく「オペンペン」という名前に着目しました。ただし徳井さんが名前の一家を描いたのに対し、私は名前の由来をめぐる両親の口喧嘩という日常的な情景を冒頭に持ち込みました。ベストセラーの書き出しとしてのギャップは狙い通りでしたが、徳井さんの回答と同じアプローチである分、インパクトでは劣ってしまいました。

「あれ、俺ねずみじゃね?」は、今まで自分が人間だと思って生きてきたオペンペンが、初めて鏡を見て自分の正体に気づくという設定です。「気づくのが遅すぎるだろ!!」というツッコミを誘いつつ、あえて軽い口調とすることで、重大な真実=自分がネズミだった、とのギャップを狙いました。

「オッペンペン♪囃子」は、「オペンペン」という音が持つ祭囃子のようなリズム感に着目した回答です。幼少期の記憶が祭りの音だけというミステリアスな設定と、「オペンペン」という間の抜けた名前のギャップを狙いました。ただ、ミステリアスな雰囲気と祭囃子の接続に、やや無理があったかもしれません。

今回のお題を通じて学んだのは、今回のように「オペンペン」というお題自体が、ある意味ボケているお題に対して、名前を真正面からイジるのか、それともギャップを狙うのか、どの角度から料理するかで回答の質が大きく変わることを痛感しました。

話はそれますが、おぺぺぺんというヒーローがお題になったこともあり、この響きが好きな放送作家さんがいるのでしょうか笑


お題2:せっかく完成した透明人間になる飲み薬    あまり使いたくない副作用とは?

芸人さんの回答

バカリズム:効き目は24時間だけど30分であきる
板尾:透明人間からよく話しかけられる

自分の回答
①体が臭くなる
②透明人間の時の記憶がない
③辛い頭痛と吐き気

比較・分析・考察
このお題のポイントは、透明人間になれるという夢のようなメリットに対して、どれだけ絶妙に「嫌な」副作用を提示できるかにあります。単純に嫌なだけでなく、「あるある」や「なるほど」という感覚を呼び起こす副作用が笑いにつながります。

バカリズムさんの回答は、このお題における発想の逆転が見事です。「副作用」というと通常は薬の作用に伴う身体的な問題を想像しますが、バカリズムさんは「自分自身が30分で飽きてしまう」という、薬ではなく自分自身の問題を副作用として提示しました。24時間という長い効き目に対して、30分という短い飽きるタイミングのズレが笑いを生みます。飽きた後の23時間30分を透明なままどう過ごすんだろう、という哀愁が漂う回答です。

板尾さんの回答は、透明人間になった世界観を一気に広げる発想が光ります。自分が透明になれたのに、他にも透明人間がいてしかも話しかけてくるというわずらわしさ。「せっかく透明になったのに」という期待を裏切られる感覚と、透明人間同士のコミュニティという想像しにくい世界観が笑いを生みます。

自分の回答を振り返ります。

「体が臭くなる」は、透明になれるというメリットに対して、臭いでバレてしまうという本末転倒な副作用を提示しました。透明になっても臭いは隠せないという現実的なツッコミが狙いでしたが、やや予想しやすい回答だったかもしれません。

「透明人間の時の記憶がない」は、透明になってさまざまなことができるはずなのに、その記憶が残らないという、透明人間の醍醐味をすべて台無しにする副作用です。「それじゃ意味ないじゃん!!」というツッコミを誘う構造は成立していると思いますが、バカリズムさんの発想の鋭さには及びませんでした。

「辛い頭痛と吐き気」は、透明人間の薬という夢のある設定に対して、あまりにも現実的な薬の副作用を持ち込んだ回答です。しかしあまりにも現実を想起させるたため笑いとしてのインパクトは薄かったと反省しています。

このお題を通じて学んだのは、「副作用」という概念を薬の物理的な作用に限定せず、透明人間になったことによって生じる状況的な問題として捉え直す発想の柔軟性が重要だということです。板尾さんの透明人間同士のコミュニティという世界観の広げ方は、特に参考になりました。


お題3:「この試着室 なんかずっと居たい」 なぜ?

芸人さんの回答

板尾:治外法権
バカリズム:終電がなくなった

自分の回答
①実家の匂いがする
②外でヤンキーがずっと喧嘩している
③着替えを応援してくれる人がいる

比較・分析・考察
このお題のポイントは、試着室という狭くて一時的な空間に「ずっと居たい」という感情が生まれる理由を、どれだけ意外な角度から提示できるかにあります。試着室という日常的な空間に非日常的な意味を持たせることが笑いの鍵です。

板尾さんの「治外法権」は、たった一言で試着室を「何をしても許される特別な空間」として定義した回答です。言葉の持つ力と、試着室という日常的な空間との圧倒的なギャップが笑いを生みます。一言で言い切るセンスと、聞いた瞬間に想像が広がる余白の作り方は、大喜利における一言回答の理想形と言えます。

バカリズムさんの回答は、「ずっと居たい」という積極的な感情を、「帰れなくなったから仕方なく居る」という消極的な理由に置き換えた逆転の発想が見事です。試着室に居たいのではなく、終電を逃して帰れなくなってしまったという現実的な事情が、試着室という空間に不思議なリアリティを与えています。

自分の回答を振り返ります。

「実家の匂いがする」は、試着室という閉じた空間に安心感や懐かしさを感じるという設定です。匂いという感覚的な要素を持ち込んだ点は悪くありませんでしたが、バカリズムさんの別の回答「カーテンが実家と同じ」という発想に大分影響を受けていたかもしれません笑。試着室のカーテンという要素をうまく結びつけているバカリズムさんの方が、一枚も二枚も上手です。

「外でヤンキーがずっと喧嘩している」は、試着室に居たいというより「外に出たくない」という消極的なアプローチです。バカリズムさんの「終電がなくなった」と同じ構造の回答で、自分なりの「外に出たくない理由」を提示しました。試着室の外でヤンキーが喧嘩しているってどんな状況!?と思わせることを狙いましたが、バカリズムさんの方がより日常的なリアリティがあり、自分の回答は突拍子が過ぎたかもしれません。

「着替えを応援してくれる人がいる」は、試着室という着替えをする空間に対して、応援という全く想定外の要素を持ち込んだ回答です。「着替えを応援される姿」を想像させることで笑いを狙いました。

このお題を通じて、試着室という空間の持つ要素、個室・カーテン・着替え・一時的な場所、をいかに的確に掴んで回答に落とし込むかが重要だと感じました。板尾さんの「治外法権」のように、一言で定義する発想の飛躍も目指していきたいです。


お題4:いつも「一言多いなっ」と言われる川田君が告白   『好きです』の後に何と言った?

芸人さんの回答

若林:顔2 性格8の割合で
博多大吉:Are you ready?

自分の回答
①黒髪なら「大好き」になります
②特に顔が
③あっだめならだめで全然いいんで笑

比較・分析・考察
このお題のポイントは、「好きです」という告白の後、シンプルにどんな”一言”を発想できるかが勝負の分かれ目。発言をどれだけ的確に、かつ意外な形で提示できるかにあります。一言多いというキャラクター設定を活かしつつ、告白という緊張感のある場面との組み合わせが笑いを生みます。

若林さんの回答は、「顔2、性格8の割合で」という一言が、告白の場面において完璧に余計な一言として機能しています。顔の評価が低いことを暗に伝えてしまうという、なんでそれを伝えるの?という疑問が素直に浮かびます。

博多大吉さんの「Are you ready?」は、第13回の回答の中で一番好きな回答です。なぜそこでその言葉が出るのかという理解不能な感覚が大好きです。なんの準備なのか?付き合う準備ができてるかという問いかけなのか?なぜ英語なのか?論理を超えた、理屈ではなく感覚で笑わせる回答であり、大喜利における「なぜだかわからないけど笑える」という最上位の笑いを体現しています。

自分の回答を振り返ります。

「黒髪なら大好きになります」は、「好き」から「大好き」になるための条件を提示してしまうという余計な一言。自分の好みを押し付けてしまうという点にも笑いを狙いました。

「特に顔が」は、「好きです、特に顔が」という流れで、外見への好意を明示してしまう一言です。若林さんの回答と方向性が似てしまいましたが、若林さんの方が顔を低評価しているというより深い笑いを含んでおり、自分の回答は一段浅かったと感じます。

「あっだめならだめで全然いいんで笑」は、告白の返事を聞く前に保険をかけてしまう男の情けなさを表現しました。「好きです」という勇気ある告白の直後に自ら退路を作ってしまうという、キャラクターの弱さが笑いにつながる構造です。自分の3つの回答の中では、川田君というキャラクターの「一言多い」という設定を最も体現できた回答だったと思います。

大吉さんの「Are you ready?」のように、理屈を超えたなぜだか笑わないけど笑ってしまう爆発力のある回答に憧れます。論理的な構造を積み上げるアプローチだけでなく、感覚的な笑いを生む発想も鍛えていきたいと改めて感じました。


お題5:超一流スナイパー『ゴルゴ13』は後ろに立たれることを嫌いますが    超三流スナイパー『ゴルゴ14』は何をされると嫌がる?

芸人さんの回答

博多大吉:運転中にカーステレオをいじられる
堀内:鼻をかんだティッシュを見せられる

自分の回答
①列に割り込まれること
②飲み会で幹事が得すると
③ゴルゴ15と間違われると

比較・分析・考察
このお題のポイントは、超一流スナイパーのゴルゴ13が持つ「後ろに立たれることを極度に嫌う」というキャラクターの設定をもとに、超三流という真逆のキャラクターゴルゴ14が「嫌がること」をどれだけ的確かつ意外に提示できるかにあります。

博多大吉さんの回答は、ゴルゴ14という超三流スナイパーのキャラクターを見事に肉付けしています。運転中にカーステレオをいじられるという、ゴルゴ13の後ろに立たれることへの緊張感とは全くかけ離れた日常的な「嫌なこと」が、超三流感を表現しています。スナイパーらしさとは無縁の、ただの「運転中のあるある」がゴルゴ14のキャラクターを一気に具体化させています。

堀内さんの回答は、ゴルゴ14かどうかに関係なく「誰でも嫌だろ!!」という普遍的な嫌悪感を持ち込んだ回答です。スナイパーという特殊なキャラクター設定を無視して、人間として根本的に嫌なことを提示するというアプローチと勢いが堀内さんらしさ全開の回答です。

自分の回答を振り返ります。

「列に割り込まれること」は、日常的な「あるある」をゴルゴ14の嫌がることとして提示しました。スナイパーという特殊な職業と、列への割り込みが許せないという現実的な感覚とのギャップを狙いましたが、列に割り込まれるのが許せないという発想がありきたりすぎて、インパクトとしてはやや弱かったかもしれません。

「飲み会で幹事が得をすると」は、ゴルゴ14の器の小ささと小市民的な感覚を強調した回答です。幹事が少し多めに利益を得るという、細かいことを気にしてしまうキャラクター性で三流感を表現してみました。

「ゴルゴ15と間違われると」は、このお題に登場しないキャラクターを新たに持ち込んだ回答です。ゴルゴ13という一流に対してゴルゴ14という三流の序列があるとすれば、さらにゴルゴ15という存在を想定させることで、14と15の微妙な立場の違いへの想像を誘います。ゴルゴ14の、15と間違われることを嫌がるというプライドの高さ、序列にこだわっているという情けなさが笑いの核です。

このお題はゴルゴ13という有名キャラクターの要素を正確に把握した上で、それを三流という方向にどうズラすかが重要です。以前の分析記事でも言及しましたが、キャラクターやある事象、ある出来事などのパブリックイメージを正確に把握することが大喜利回答の精度を上げる鍵となることを改めて感じました。


総括:第13回大会から学ぶ「想像力」と「笑い」の設計図

第13回IPPONグランプリを振り返ると、今大会を通じて最も強く感じたのは、大喜利における「想像力」の重要性です。

「オペンペンの大冒険」では、その名前の背景にどんな物語を想像するか。透明人間になる薬では、なった後にどんな状況が生まれるかを想像する。ゴルゴ14では、三流スナイパーというキャラクター像をどう想像するか。今回の5つのお題すべてに共通していたのは、与えられた設定の「その先」を想像する力が笑いの質を決めるということでした。

プロの芸人さんたちの回答を振り返ると、板尾さんの「治外法権」、バカリズムさんの「30分で飽きる」、これまた板尾さんの「透明人間からよく話しかけられる」など、いずれも設定の先にある世界を瞬時に想像、最も笑いが生まれる一点を切り取っています。この「想像の解像度の高さ」こそが、プロとアマチュアの最大の差だと痛感しました。

一方、自分の回答を振り返ると、発想の方向性は間違っていないものの、想像を一段深めることができていない場面が多かったです。「体が臭くなる」や「列に割り込まれること」など、最初に浮かんだ発想をそのまま回答にしてしまっている”浅い”ケースが目立ちました。プロの芸人さんはおそらく最初に浮かんだ発想をさらに深掘りし、より意外で、より映像が浮かぶ一点へと磨き上げているのだと思います。

また今回学んだのは、映画・漫画・小説などのエンタメ作品に広く触れることが、大喜利の想像力を鍛える上で重要だということです。ゴルゴ13というキャラクターを知っているからこそ、そのずらし方が活きてきます。知識と想像力は大喜利において車の両輪です。

いろいろと語りましたが、最も好きだった回答は上にも書いた通り、大吉さんの「Are you ready?」でした笑。論理を超えた笑い、憧れますね笑

想像力を磨くこと。最初の発想をさらに一段深めること。そして、時には論理を超えて勢いそのままに発露すること。これらを意識しながら、今後も大喜利回答に臨みます。プロの芸人さんたちの思考の深淵に、まだまだ挑み続けます!!

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