第14回 IPPONグランプリ お題に挑戦!!

【挑戦記】IPPONグランプリ第14回|大喜利お題に本気で挑んでみた

2015年11月14日に放送された第14回IPPONグランプリ。本記事では、プロ芸人さんたちの回答を論理的に解剖しながら、自分の回答と比較・考察することで「笑い」の設計図をさらに深く読み解いていきます。

本記事で6記事目となりますが、まだまだ大喜利力が足りないと感じる日々です。それでも分析を重ねるごとに、笑いの構造が少しずつ見えてきた気もしています。今回も全力で挑みますので、皆様もぜひお付き合いいただければ幸いです。

※本記事で紹介・比較している芸人さんの回答は、研究・分析を目的として「第14回 IPPONグランプリ(フジテレビ)」の放送内容より一部引用しております。

IPPONグランプリのアイキャッチ画像です

今回の出場者は!?

秋山竜次さん/若林正恭さん/設楽統さん/千原ジュニアさん/博多大吉さん、他豪華メンバーが集結した第14回大会です。
さっそく大喜利回答に挑戦していきます!!


お題1:バズーカを持ってるところを職務質問されました    言い逃れして下さい

芸人さんの回答

秋山竜次: 私は酒もタバコもギャンブルもやらないんだ!!これくらいやらせてくれよ!!
若林: お巡りさん、ハロウィン、ハロウィン

自分の回答
①ちゃんと任意保険に入ってますよ
②これ真っ黒に塗った右手です
③入院している母がどうしてもバズーカを打ちたいって言ってるんです

比較・分析・考察
このお題の核心は「どれだけとんでもない言い訳を考えられるか」にあります。言い逃れとして一見筋が通っているようで、冷静に考えると「それでもダメだろ!!」と思わせる構造が笑いを生みます。

秋山さんの回答は、まさにこの構造のポイントを押さえています。酒もタバコもギャンブルも断ち、まじめに生きてきた人間が「これくらいやらせてくれ」と言い張る。壮大に、いやいやそれでもダメだろ!!という思いを生み出します。さらに秋山さんの独特の表現力と勢いが、この回答に命を吹き込んでいる点も見逃せません。

若林さんの回答は「ハロウィン」という一言で、バズーカの存在そのものをコスプレ道具として処理してしまう。言い訳の中身を詳細に説明するのではなく、一言で警官を煙に巻くような飄々とした態度が、若林さんのキャラクターとも相まって笑いに繋がっています。

一方、自分の回答を振り返ります。

「ちゃんと任意保険に入ってますよ」は、バイクや車の職務質問で任意保険の有無を確認されるシーンを、バズーカにスライドさせた発想です。任意保険という言葉が持つ「合法的な印象」をバズーカに転用することで、筋が通っているようで全く通っていないという笑いを狙いました。方向性は悪くなかったと思いますが、「任意保険があればバズーカを持ち歩いていい」という論理のズレをもう一段強調できれば、さらに笑いが強くなったかもしれません。

「これ真っ黒に塗った右手です」は、視覚的なシュールさを狙った回答です。「そんなわけないだろ!!」という即座のツッコミを誘う構造で、バズーカという巨大な物体に対してのごまかし方があまりにも”嘘”すぎる点が、逆に笑いになり得ると考えました。ただ、やや強引だったことは否めません笑

「入院している母がどうしてもバズーカを打ちたいって言ってるんです」は、今回の自分の回答の中で最も手応えを感じた一本です。病気の母親という、誰もが思わず同情してしまう設定を持ち出しながら、その願いがバズーカという突拍子もないものであるギャップが、「だとしてもダメだろ!!」という感情を強く引き出します。言い訳の「筋の通らなさ」を最大化しつつ、人間的な温かさも残せた点が、このお題との相性が良かったと感じています。

この回答では、秋山さんの感情のこもった言い方、若林さんの飄々とした言い方、芸人さんそれぞれが自分にあった表現をしており、改めて大喜利には回答自体の強さ以外に、表現力が必要だと感じました。


お題2:スティーブ・ジョブズが関西出身だったらどうなっていた?

芸人さんの回答

設楽統:マック→マクド
千原ジュニア:来年ようやくiPodが発売される辺り

自分の回答
①たこ焼き機がしゃべる
②タートルネックが虎柄
③阪神タイガースがめちゃくちゃ強い

比較・分析・考察
このお題の肝は、スティーブ・ジョブズという世界的なビッグアイコンと、関西という強烈な個性を持つ文化圏をどう結びつけるかにあります。

設楽さんの回答は、このお題におけるまさに”正解”の回答と言っても過言ではありません。「マクドナルド」のことを関東圏では「マック」、関西圏では「マクド」と省略するという前提のもと、「マック」をアップル製品の「Mac」に置き換え、スティーブ・ジョブスが関西出身のため「Mac(マック)」ではなく「マクド」となるという、この発想を一文で表現しきった言葉のセンスと瞬発力は脱帽です。笑いと同時に「なるほど!」という感嘆が生まれる、大喜利における最高のパターンを体現しています。「うまい」だけではなくしっかりと「笑い」につながっています。

千原ジュニアさんの回答は、「関西出身」千原ジュニアさんの自ら自虐を用いた回答です。スティーブ・ジョブスがカリフォルニアではなく、関西出身であったら、アップルはまだこれほどまでに巨大企業となっておらず、やっとiPodの発売が来年辺りとなるだろうという自虐回答。ジュニアさんならではのほんの少し毒を含んだ笑いです。

自分の回答を振り返ります。

「たこ焼き機がしゃべる」は、関西の一般家庭に必ずあると言われるたこ焼き機と、アップルのSiriを結びつけた発想です。スティーブ・ジョブズが関西出身なら、Siriではなくたこ焼き機に音声アシスタント機能が搭載されていたかもしれないという、生活感あふれる未来像で笑いを生みます。

「タートルネックが虎柄」は、ジョブズのトレードマークであるタートルネックと、関西のおばちゃんに代表される豹柄・虎柄のファッション文化を掛け合わせた回答です。ジョブズのシンプルで洗練されたイメージと、派手な関西ファッションの対比が生むギャップを狙いました。

「阪神タイガースがめちゃくちゃ強い」は、アップルという巨大資本が関西を拠点にすることで、その資金が阪神タイガースに流れ込み、球団がめちゃくちゃ強いはずだという発想の飛躍を楽しんでいただく回答です。

今回のお題を通じて改めて学んだのは、大喜利に必要なのは、ある事・物・事象の要素やイメージを正確につかみ、巧みに結びつけることだということです。設楽さんの「マクドナルド」「マック(Mac)→マクド」はその完璧な実例でした。


お題3:書籍『5分でわかる〇〇』 「ウソつけ!」    この本のタイトルは?

芸人さんの回答

千原ジュニア:5分でわかる社会の仕組み題62巻
博多大吉:5分でわかる1+1=2

自分の回答
①『5分でわかる長時間思考する方法』
②『5分でわかる1年間で100兆円稼ぐ方法』
③『5分でわかる科挙突破法』

比較・分析・考察
このお題は「2コマオチ」の構造を持つお題です。「5分でわかる」という前置きに対して、後半のタイトルが「5分じゃ絶対無理だろ!」と思わせる内容であることが、笑いの成立条件です。

千原さんの回答は、この構造を「分量」という軸で攻めた回答です。5分でわかると言いながら62巻も続いているという事実が、タイトルの嘘を暴いています。「5分でわかる」シリーズが62巻まで続くという、現実には絶対に起こり得ない状況のバカバカしさが笑いを生みます。

大吉さんの回答は、このお題における逆張りの発想が見事です。「5分じゃ無理」ではなく「5分もかかりすぎだろ」というツッコミを誘う、1+1=2という小学生でも知っている計算式。正攻法が「5分じゃ足りない」を攻めるところを、あえて「5分は長すぎる」という逆方向に振り切った発想の柔軟性が光ります。

自分の回答を振り返ります。

「長時間思考する方法」は、5分という短時間で長時間思考の方法を習得しようとすること自体の矛盾を笑いにした回答です。「5分でわかる(わかった気になる)」人が長時間思考できるわけがない、という構造です。そもそも長時間思考とは、じっくりと時間をかけて物事を深く考える行為であり、それを5分で習得しようとする姿勢そのものが、このお題の「ウソつけ!」というツッコミをシンプルに体現していると思います。

「1年間で100兆円稼ぐ方法」は、5分という短時間と100兆円という天文学的な数字の対比によって、その荒唐無稽さを笑いに変えることを狙いました。5分でわかったとして、その後1年で100兆円を実際に稼げるのかという現実的なツッコミも含め、二重の意味で「ウソつけ!」が成立する構造になっていますが、タイトルだけで笑わせるフレーズ”力”が足りなかったかもしれません。

「科挙突破法」は、古代中国の苛烈な官僚登用試験である科挙と、5分という時間を結びつけた回答です。科挙というあまり一般的ではないややウンチク系のボケです。科挙は数年から数十年をかけて挑む試験であり、その対策が5分でわかるという設定の荒唐無稽さが笑いの核です。科挙をしっている読者ほど「それは絶対無理だろ!!」というツッコミが強くなる、狭く深くを対象としたボケです。こういった狭くをターゲットとした回答は”刺さった”ときは笑いに繋がりやすいと考えます。

今回のお題を振り返ると、自分の3つの回答はいずれも「5分じゃ足りない」という正攻法のアプローチでした。大吉さんのような逆張りの発想が自分にはまだ少ない、という反省が残ります。3問回答するうちの1問は意図的に逆方向から攻める癖をつけることで、回答の幅が広がります。


お題4:パラパラを踊っていた人達はなぜ無表情だったのか教えて下さい

芸人さんの回答

秋山竜次:もう、すでにブームが終わることを知っていた
設楽統:あとで家族に楽しそうにやってたじゃんといわれたくない

自分の回答
①将来のことを考えていたから
②パラパラの起源が心を無にすることで宇宙とつながることだから
③踊らされていたから

比較・分析・考察
パラパラを踊る人が無表情であるという、ひとつの「あるある」からきているこのお題。無表情という結果に対して、いかに意外な原因を提示できるかが笑いの鍵です。

秋山さんの回答は、無表情の理由として「ブームの終わりへの予感」という、哀愁漂う視点を持ち込みました。踊りながらも心のどこかで「これは長くは続かない」と悟っていた人々の姿が、笑いと同時にどこか切ない余韻を残しています笑

設楽さんの回答は、個人的に今回最も好きな回答です。楽しんでいる姿を家族に見られると後でからかわれる、だから無表情で踊る。この「家族という身近な存在への照れ」が生む情景は、誰もが経験したことのあるような親しみやすさがあり、思わずほっこりしてしまいます。大喜利においても「共感」が笑いの強力な武器になることを改めて教えてくれた回答です。

自分の回答を振り返ります。

「将来のことを考えていたから」は、踊りながら真剣に将来を考えているという、場の空気との圧倒的なミスマッチが笑いを生む構造です。無表情の理由として「将来への不安」を持ち込んだ点が特徴です。

「パラパラの起源が心を無にすることで宇宙とつながることだから」は、でたらめな歴史設定を思い切って持ち込んでみました。とんでもない嘘を堂々とついて、無表情の理由に壮大な意味を持たせることで、笑いを生もうとしました。

「踊らされていたから」は、自分の意志ではなく何者かに操られていたという設定です。「踊らされていた」という言葉が持つ比喩的な意味と、物理的な意味の両方を掛けた回答で、シンプルながら「踊らされていたんかい!!」というツッコミを誘う構造としてみました。

設楽さんの、家族という身近な視点を持ち込んで、家族に照れてしまうという誰もが通った経験をうまく回答に落とし込んだ技術は、さすがプロの芸人さんです。わたしも誰もが共感する深層意識をつくような回答を目指したいです。


お題5:最後に「にんげんだもの」をつけると格好良くなる文章を教えて下さい

芸人さんの回答

設楽統: あ〜ムラムラする〜人間だもの
設楽統: ♪ズン ズン ズン ズンドコ 人間だもの。

自分の回答
①今日も夜にラーメン食べちゃうんだよなあ、にんげんだもの
②耳の裏を擦るとくさいんだよなぁ、にんげんだもの
③おっぱいが好きだなあ、にんげんだもの

比較・分析・考察
このお題は第14回の中で最も難しいと感じました。「にんげんだもの」という相田みつをさんの有名なフレーズを最後につけることで、どんな文章でも格好良く聞こえてしまうという逆説的な笑いを狙うお題です。裏を返せば、「にんげんだもの」自体のフレーズが強すぎてどんな文章でも成立してしまうため、逆に「何を前に置くか」という選択の難しさがあります。お題の間口が広いほど、何を選ぶかのセンスが問われる。今回はその難しさを痛感しました。

設楽さんの2本目の回答は、お題の「格好良くなる」というルールを完全に無視しているように見えます。しかしフレーズの力と「にんげんだもの」とのミスマッチでなぜだか笑える不思議な回答です。大喜利では、ときにお題のルールをあえてはみ出す、無視することが笑いにつながるという、高度なテクニックを見せてもらいました。そしてこのルールの「はみ出し」「無視」は、設楽さんという芸人としてのキャラクターと雰囲気があってこそ最大化されます。誰でもできる技ではないからこそ、プロの凄みを感じさせる回答でした。

自分の回答を振り返ります。

「今日も夜にラーメン食べちゃうんだよなあ、にんげんだもの」は、わかっていてもやめられない深夜のラーメンという、多くの人が共感できる「人間らしい弱さ」を表現しました。「にんげんだもの」という言葉が、この小さな罪悪感を包み込んで格好良く聞こえてしまう構造が笑いを生みます。共感のしやすさという点では、自分の3つの回答の中で最も間口が広い回答だったと思います。

「耳の裏を擦るとくさいんだよなぁ、にんげんだもの」は、誰もが密かに知っている生理的な事実を、相田みつをさんの言葉で格調高く表現するギャップを狙いました。「格好良くなる」というお題の条件を逆手に取り、格好良くなるはずがない事実を格好良く聞こえさせる構造です。

「おっぱいが好きだなあ、にんげんだもの」は、本能的な正直さと「にんげんだもの」の包容力が生む笑いを狙った回答です。あまりにも正直すぎる告白を、相田みつをさんの言葉が包み込む構造は成立していると思いますが、品の面でやや攻めすぎた感は否めません。笑いと下ネタのバランスをどこに置くか、という課題を改めて感じた回答でした。


総括:第14回大会から学ぶ笑いの本質

第14回IPPONグランプリを通じて、笑いを生むうえでの重要な気づきがいくつかありました。

まず秋山さんや若林さんの回答から学んだのは、自分のキャラクターに合った回答を出すことの重要性です。秋山さんの爆発的な勢い、若林さんの飄々とした冷静さ。どちらもキャラクターが回答に命を吹き込んでいました。言葉そのものの面白さだけでなく、それを誰がどう表現するかという「キャラクターの文脈」が笑いを底上げします。

大吉さんの回答から学んだのは、逆の発想の威力です。正攻法が「5分じゃ足りない」を攻める中で、あえて「5分は長すぎる」という逆方向に振り切る。3つ回答するなら、そのうち1つは意図的に逆張りを試みることで、回答の幅と意外性が生まれます。

そして設楽さんの「にんげんだもの」の回答から学んだのは、お題のルールを時には無視することも笑いにつながるという逆説です。お題に忠実であることが必ずしも最良の回答につながるわけではない。この「はみ出し」「無視」の勇気もまた、大喜利における重要な武器です。発想力だけでなく「勇気」も必要だということが、今回の大きな気づきでした。設楽さんのお題のルールをあえてはみ出す大胆さ、勢いにまかせて「この一手で行く」という覚悟が回答を輝かせていました。

自分の回答を振り返ると、まだどこかで「ちゃんと説明しなければ」という意識が働いていると感じます。大喜利において説明が笑いの敵になることがある。説明を切り捨てる潔さ、余白を残す勇気を、次回以降も意識していきたいと思います。

今回の5つのお題を通じて、改めて大喜利の奥深さと、笑いを構造として理解することの面白さを実感しました。次回もまた、プロの思考の深淵に挑み続けます。

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